電卓と決算表

資金繰り危険度をチェックする ~前編~

 現在、多くの中小企業が売上増のために様々な努力をしています。そのような中で、しっかりチェックしたいのが日々の資金繰りです。

(事例) 月末に資金がない!?

今月の目標売上の見通しが何とか立ちそうで一安心している社長のもとに、経理担当者が血相を変えてやって来ました。「社長、決済代金が300万円足りません!」。「そんなはずは…」と疑いつつも、社長は手帳へのメモ書きと記憶を頼りに、入金・出金の予定を見直したところ、年末商戦用に仕入れた商品の決済のことをすっかり忘れていたことに気付きました。すぐに社長の個人預金から立て替えて事なきを得たのですが、あやうく資金ショートを招くところでした。

 この事例のように、予定通り売上が上がっているにもかかわらず、月末に「資金がない!?」といった経験はないでしょうか。突然の資金不足という事態にならないように、まずは経営者自身が、次のような資金繰り状況を把握しておかなければなりません。

・今使える資金はどのくらいあるのか

・近い将来いくら支払わなければならないのか

・いつ、いくらの入金があるか

・資金が不足するとしたら、いつ、いくら不足するのか

●資金繰りを悪化させる要因は何か

 資金繰りというと、銀行から借り入れることを想像しがちですが、資金繰りとは、会社に入って来るお金と、会社から出ていくお金を把握して、予想される近い将来の資金不足への対策を立てることです。経営者が、本業よりも資金繰りに追われると、売上にも影響し、さらに資金繰りが悪化するという悪循環に陥ってしまいます。売上の急減や大口取引先の倒産などの緊急時には、金融機関など外部から資金を調達することが必要ですが、常日頃から資金繰りを悪化させる要因をチェックし、資金繰りの改善を心がけましょう。

(1)手元現金・預金は確保できているか

 すぐに使える現金・預金は、最低でも月商の1~2か月分(理想は3か月分)を確保したいところです。また、帳簿上の利益と実際の資金は一致しないことを肝に銘じてください。

【緊急時に備えた資金繰り対策とは?】

不測の事態に備えて、会社の手元資金を把握し、不足する資金をどのように確保するかを検討しておく必要があります。

1.まずは、会社の現状を分析し、実行可能な対策を行う

・固定費の削減

・滞留売掛金の早期回収

・在庫商品のセール販売

・遊休資産の売却 など

2.なお、資金が不足するときは、公的融資や社長個人からの資金到達の可能性を探る

・緊急経済対策融資保証などの活用

・倒産防止共済の活用

・小規模企業共済からの借り入れ

・社長からの借り入れ など