資金は足りているか!? ~前編~
企業には、「儲ける力」ともいうべき収益性が重要ですが、安全性も忘れてはいけません。収益性を「矛」にたとえるならば、安全性は「盾」という関係にあります。つまり、矛と盾の両方がなければ、本当の強い会社とは言えないからです。
●短期的な資金繰りは大丈夫か?
短期間(1年以内)に支払い・返済しなければならない流動負債(支払手形、買掛金、短期借入金等)は、基本的に短期間に現金化される流動資産(現預金、受取手形、売掛金、棚卸資産等)が返済の原資になります。この流動資産と流動負債から導き出される経営指標を流動比率と言います。また、流動資産の中から最も現金化に時間のかかる棚卸資産等を除いたものを当座資産といい、当座資産と流動資産から導き出される経営指標を当座比率と言います。
(1)流動比率
流動負債に対する流動資産の割合です(流動比率=流動資産÷流動負債)。一般に、この比率が高いほど安全性が高いということになり、理想は150%超と言われています。ただし、流動資産の中に、現金化の難しい不良債権・不良在庫が多く含まれていると、流動比率が高くても安全性は低いということになります。
(2)当座比率
流動比率よりもさらに短期の支払い能力を見るための指標です。当座資産が流動負債に対してどれだけあるかを見るものです(当座比率=(現預金+受取手形+売掛金等)÷流動負債)。理想は120%超と言われています。