郷土居酒屋、新しい人脈作りの拠点―東京での一日、極めて健康的な世界―Ⅷ
上京の際、好きな街(エリア)を散策していて思うのは、商売の移り変わりの速さです。
長く続いている店は少なく、特に日本の場合、スクラップ&ビルドも激しいために、町全体の様相もすっかり変わってしまった、ということも少なくありません。
そんな中で、青山という一等地にもかかわらず、平屋の路面店でずっと続いているメンズのセレクトショップがあったので、思わず立ち寄ってみました。
店の名前は「オイスター」といって、私が東京に住んでいた頃から、気にはなるものの、なんとなく敷居が高そうで、当時は入ったことはありませんでした。
店にいた、オーナー或いはオーナーの身内といった青年と会話を交わしたところ、
「この業態で45年以上経営しているけれど、決して楽な道ではなかった。」
といった話の内容だったのです。
ふらりと立ち寄ったそんな店先での会話を終えたあと、この日は、晩飯を家族と食べる予定ではなかったので、このメンズショップの2,3軒隣りにある居酒屋に立ち寄りました。
ここは、この3,4年で行きつけになった店で、もともと鹿児島出身のオーナーが経営している「きばいやんせ」という居酒屋です。
ここは酒飲みのための多くの料理と、鹿児島や宮崎から取り寄せた多数の銘柄の焼酎が並んでいます。
晩飯を一人で食べるはめになったときは、ここに立ち寄って顔見知りのオーナーとしゃべったり、近年東京で知り合った新しい人脈の人たちと交流したりしています。
この夜も、私はカウンターで飲んでいたのですが、オーナーがたまたま店にいたやはり鹿児島出身のテレビディレクターを紹介してくれたので、いろいろと話が盛り上がりました。
ここでは、以前も、様々な経歴の人と新たな交流を持つことができるようになり、私にとって東京における新しい人脈作りの拠点といってもいいでしょう。
ここから私の家までは、3,4キロありますが、飲み食いした後、タクシーで帰るときもあれば、そのまま歩いて帰るときもあります。
この日は、歩いて1Kmちょっとの西麻布まで歩くことにしました。お目当ての店がもう一件あったからです。
夕闇が迫ってくるとお酒が飲みたくなる。
つづく