完全に市民権を得てしまった―ダウンウエアの思ひ出―Ⅷ(おしまい)

結婚前、付きあい始めたカミさんが、自分の金でちょっと上等のダウンコートを買うのを見て、「俺より贅沢だな。」と、つまらんコンプレックスを抱いた私。

今でこそ、各ファッションブランドが結構豪華なダウンウエアを発売しているが、当時はもう少し希少性があった。

 

さて、私といえば「石井スポーツ」の安価なダウンベストを購入したあと、次に選んだのは、ひたすらアウトドアブランド特有のウエアの機能性に注目した結果、エディバウアーのダウンパーカーであった。

これは、「石井スポーツ」のダウンベストとは打って変わって、私にとってかなりの出費だったことになる。

 

しかし、少々無理をしただけのことはあって、当時から、エディバウアーのダウン製品には定評があった。

ダウンの品質が、他のメーカーのものよりワンランク上位にくるといわれていたのである。

当然、同じダウンの量であれば、より軽いし暖かいということになる。

 

分割払いにでもしたのだろうか、そのダウンパーカーをなんとか手に入れて愛用した。

色はカーキというかベージュというか、ダウンパーカーとしては最もよくある無難な色であった。

 

こいつは確かに抜群に暖かく、例によって炬燵に足を突っ込んで上半身にこれをかけていると、暑すぎて汗をかくほどだったのである。

しかし、最後はどうしたのか覚えていないが、これもいつの間にか手放して今はもう手元にはない。

 

近年、ダウンウエアは老若男女誰でも1着や2着は持っているのではないだろうか。

アウトドアウエアというジャンルを突破して、完全に市民権を得てしまったようである。

特に老人には、暖かくて軽いので重宝されるのではないか、と思う。

 

まあ、とはいえ、私にとってのダウンウエアの原点は、アウトドアウエアブームに刺激されて、ようやく手に入れた「石井スポーツ」のダウンベストである。

あれから、長いダウンウエアとの付き合いの歴史が始まった。

 

アウトドアウエアブームをきっかけに、興味を持ったり手にしたファッションアイテムは他にもいろいろある。

つまり、あのブームは私の青春時代と完全にシンクロしているので、他のことより思い入れが深いのであろう。

 

こう考えると、アウトドアウエアだけで、マイファッション史の1章が書けそうである。

しかしそれは、またの機会にしようと思う。

 

現在所有しているダウンベスト。ナイジェルケーボンというデザイナーのもので、30年くらい昔購入しました。

おしまい