わかってはいるけれど、行動に起こすのが難しい―「唯一無二」を伝えることの難しさ―Ⅴ

企業に何か問題や課題があった場合、それを解決するために行なうコンサルティングは、経営者がそれまで全く知らなかったような新しい知識を注入するのかといえば、そんなことはありません。

知識や情報という点では、ある意味「真っ当でわかり切っていたこと」をコンサルティングすることになります。

 

ただ、経営者になんとなくわかってはいたけれどそれに向き合う姿勢がなかったとか、組織的に受け入れる素地がまだなかったとかいう場合が多いのです。

まずは経営者側に、そのコンサルティングを理解しようという姿勢が大事なのですが、これがなかなか難しいのです。

 

そこで、内容をきちんと理解しようとしない経営者にとっては「わざわざ、珍しくもない話を・・・」となる訳です。

確かに単なる「情報」としてはそう見えるかも知れませんが、よく聞けば、その組み立て、考え方、アプローチの仕方などは、これまで考えたこともやったことものないスキームのはずなのです。

 

多くのコンサルタントが、この「わかっているけど、難しいこと」を伝えなければならないので、集客の段階から結構大変な思いをするのではないでしょうか。

つまり、コンサルティングというのは

「これまであなたの知らなかった画期的な『新情報』をお教えします。」

といった、単純な情報提供ではない、ということです。

 

そもそも、この「わかっているけど、難しいこと」というのはいったい何が難しいのでしょうか。

それはただ一点に絞られると言っていいでしょう。

「実践するのが難しい」のです。

 

先述の

「社員の意見をもっと吸い上げればいい、とわかってはいるのだがうまくいかない。」

と言っていた社長は「社員の意見を聞かなければ・・・」とわかっていながらできていません。

そしてそれを

「自分は聞く耳持っているのだが、社員からはちっともまともな意見が上がってこないのだ。」

と、社員のせいにしています。

 

つまり、やるべきことがわかっていても、実際に行動に移し結果を出すのは難しいのです。

むしろ、「わかってはいるけれど、行動に起こすのが難しい」といったことの方が、世の中には多いのかも知れません。

 

             「実践」・・・こいつが難しい。

つづく