真っ当なわかり切ったこと、なのに・・・―「唯一無二」を伝えることの難しさ―Ⅳ
セミナーとか何かを教える際に集客が比較的簡単なのは「易しいけれど、知らんこと」です。
つまり、語学とか料理とか音楽とかになります。
一方、集客が困難なのは「わかっているけど難しいこと」です。
例えば、会社内にこれこれこういう問題があることはわかっているけれどそれを解決するのが難しい、といった個別に事情が異なるようなテーマになります。
この、問題があることはわかっていたけれど、どう取り組めばいいのか悩んでいた、といった類のテーマを解決するのがコンサルタントの役割と言っていいかも知れません。
こういう問題は、何か教科書のようなものがあって、それに当てはめれば解決する、といった方法をとることができません。
いったいどのような問題があるでしょうか。
その典型的な例が
「社員の意見をもっと吸い上げればいい、とわかってはいるのだがうまくいかない。」
といった課題です。
「俺は社員の意見なんか一切聞かない。全部自分で決める。」
と明言する経営者はむしろ少数派ではないでしょうか。
私がこれまで出会った多くの経営者は
「自分は聞く耳持っているのだが、社員からはちっともまともな意見が上がってこない。仕方がないから全部自分で考えるしかないのだ。」
といった言い方をします。
つまり、自分は好きでワンマンをやっているわけではなく、やむを得ずそうなっているのだ、と必ずこのタイプの社長は主張します。
こう思いこんでいる経営者は多く、自分ではそう信じて、全く疑ってもいません。
このタイプの経営者に対して、
「社長の思い通り、もっと風通しのいい組織にするにはどうすればいいのか」
というコンサルティングを実施するとします。
そうすれば、当然、まずは
「社員の意見にきちんと耳を傾けて、彼らの思っていることをちゃんと把握しましょうよ。」
という話は避けられないことになります。
しかしそうすると、間違いなく社長は「そんなことはわかっているよ!」となるはずです。
これが先述した「わかっているけど、難しいこと」といっている内容なのです。
つまり、コンサルタントは真っ当なわかり切ったことをコンサルティングするわけですから、それは、「もともと知っていること」なのか「全く知らなかったこと」なのかといえば、「知っていたこと」になるのです。
風通しのいい会社、といっても・・・・
つづく