他に有効な枠組みが提案されていない?!?―改めてPDCAについて考える―Ⅳ
かつて、外資系企業に所属して上司の指示通り、PDCAサイクルを一生懸命回そうとしたビジネスプロコーチの久野 和禎氏。
しかし、プロジェクトリーダーの彼が、綿密に立てられたはずの経営計画にしたがって、しっかりとしたPDCAサイクルを設計しそれを回そうとしても、現実にはあまりうまくいかなかったようです。
そのときの顛末を久野氏は次のように語っています。
― 何度かやっているうちに気がついたことがあります。
それは、どんなに丁寧にPDCAを設計しても、
「実際にプロジェクトが始まるとPDCAを無視しても問題なく進む!」。
むしろ、PDCAにこだわると、プロジェクトが前に進みにくくなる、ということです。
私にとってのPDCAは、それにこだわって一生懸命回そうとするとかえって「仕事が遅くなって、成果が出なくなる」、そういうものでした。
そして、私だけでなく、周りを見回してみても、PDCAをうまく回せている人はほとんどいませんでした。―
おやおや、この下りを読むと、PDCAが相当怪しくなってきたことに気づかされます。
まず、「PDCAを無視してもプロジェクトは問題なく進む。」ということです。
これだけであれば
「そうか。そんなにPDCAを気にしなくてもいいんだ。」
で済みますが、次の「むしろ、PDCAにこだわると、プロジェクトが前に進みにくくなる」という話になると、これは聞き捨てならないことになります。
洋の東西を問わず、最強のビジネス手法であったはずのPDCAが足かせになる、というのですから穏やかではありません。
その点について久野氏は次のように結論づけておられます。
― では、なぜうまく使えないPDCAというツールがこれほどまでにもてはやされるのでしょうか?
私は、それは「PDCA以外に有効な枠組みが提案されていないから」だと思っています。―
結論はシンプルです。
他に使える手法が提案されていなかったから、というのは極めて明快な答えといえましょう。
しかし、当然ここで終わるわけにはいきません。
PDCAの欠点や弱点をもう少し詳しく分析して、新たなビジネス推進手法があるのかどうなのかまで検討してみる必要があります。
つづく