「目標管理」は「北風政策」?!?―現場に考えさせる、決めさせることの難しさ―Ⅷ

PDCAをしっかり回していく「目標管理」こそが、事業推進の優れた方法論と信じていた、日本企業からの転職組である隅田貫氏(メッツラー・アセットマネジメント シニアアドバイザー)に対して、ドイツ企業のドイツ人上司は、そのような『できない理由』が上がってくるだけの圧力的な管理は決してしない、と答えます。

この予想外の回答に隅田氏は驚かされます。

 

そして、次のような感想を持つのです。

― 目から鱗が落ちる思いでした。

 確かに会社の規模や経営実態に応じて、目標管理や社員の士気向上への方策はさまざまです。

ただ、私は「北風政策」ではなく「太陽政策」で社員の士気向上を図る上司の考え方に心の底から共感し、意欲を新たにしました。―

 

「目から鱗・・」と思えるほど、隅田氏はこのドイツ人上司の考え方に感銘を受けます。

そしてこの方針を「太陽政策」と称し、心から共感しています。

さらに共感したばかりでなく、新たな意欲も湧いてきているのです。

 

私も読んでいて「ここだ!」と、思いました。

つまり、PDCAを回していく「目標管理」に何か釈然としない思いを抱いていた私は、その理由がわかりませんでした。

 

つまり、通常日本企業で行なわれている「目標管理」は、「北風政策」ということになります。

何かノルマを課せられて、それを計画に基づいてきっちりとこなしていかなければならない的な「重み(負担)」を感じていたのかも知れません。

 

意欲を新たにした隅田氏は、次のように述べておられます。

― 部下に考えさせ、リードをとった行動を促す。

いちいち報告を求めない。

 自主性を重んじるこうした環境は、生産性を上げるにはとても大切な点です。―

 

社員が自主的に考え、自主的に行動する・・・日本企業に最も欠けている点かも知れません。

さらにその細かい報告もいちいち上司が求めない、となると、現在の日本企業の場合、かなり大胆な意識改革を行わなければ無理な話、ということになるのではないでしょうか。

 

さて、生産性を上げていくために大切なこういった環境を作り出すためには、多くの日本企業が、今後どうしていくべきか、隅田氏はこのあと、具体的な考え方や日々の行動指針のようなポイントをあげておられました。

 

 

つづく