「現場の自由度」の高さは?―現場に考えさせる、決めさせることの難しさ―Ⅲ

ドイツ企業で働くことになった隅田貫氏(メッツラー・アセットマネジメント シニアアドバイザー)が最初に感じたのは、仕事に対するスピード感と変化に対する柔軟性でした。

いずれも、日本企業にとっての課題といえる内容であり、ここにおいてドイツ企業との差異の大きさを強く意識したのです。

 

こういった点に関する違いについて、隅田氏は、企業で働くうちにより具体的な場面に遭遇することになります。

それは「自分でかなりの部分を決断」というタイトルで、次のように述べられています。

 

― 私がメッツラー社から学んだことの一つは、「現場の自由度」の高さです。

日本の会社に勤務していたときは、自分一人の裁量で判断できることにはかなりの制限があり、上司を含め、関係の本部等に“逐次”と言っても過言ではないほど報告・連絡・相談(ほう・れん・そう)を求められました。

その結果、結論・判断が示されるまで相当な時間が必要になることも少なくありませんでした。―

 

さて、ここで述べられているように、日本企業に「現場の自由度」というものがどれくらいあるでしょうか。

中小零細企業から大企業に至るまで、かなり限られているのではないか、と思います。

 

「報・連・相」については、昔から言われているところであり、これに関する書籍などもかなりの数、発刊されているのではないと思います。(私は読んだことがありませんが・・)

ところでこの「報・連・相」は、そんなに重要なのでしょうか。

 

そもそも、この「報・連・相」が日本企業独自のものなのか、外国にもあった考え方なのか、私は知りません。

少なくとも、隅田氏の見解を読む限りでは、世界共通のビジネススタンダードではなさそうです。

 

一人一人のビジネスマンに権限を持たせることなく、逐一上司に報告することを義務付ければ、隅田氏の言われるように、結論や判断が下されるまで相当な時間がかかることになります。

 

「報・連・相」に一定の効果があったとしても、少なくとも現代ビジネスシーンにおいて、このやり方には限界があるのではないでしょうか。

日本企業が後生大事に守ってきた手法も切り替える時期にきているのかも知れません。

 

                 ちゃんと「報・連・相」しろよ!

つづく