的確な「判断力」には「吟味し思考する」という作業が必要―現代経営に不可欠な「先見性」を手にするには―Ⅳ

経営者が「先見性」を持つには、世の中のいろいろな情報に精通し、その情報から得た知識をもとに、必要なものとそうでないもの、重要なものとそうでないものを取捨選択する力を磨いていくことになる、と一般的には解釈されています。

したがって、「経営者が「先見性」を持つには、とにかくインプットが大事であり、いろいろな知識を仕入れなければならないと。

 

もちろんこのようにインプットは、大事な要素となります。

経営者に基盤となる知識がなければ、取捨選択を前提とする「先見性」にまで行きつきようがないからです。

 

ただ、ここには少し問題があります。

というのは、知識のインプットが、そのまま「先見性」の獲得にストレートに繋がるか否かは、何とも言えないところがあるからです。

 

インプットの後には、必ず「判断」という作業が避けられません。

知識としてインプットされた情報が、それほど重要ではないのか、或いは将来にわたって重要な事項として残るのか、発展成長の基盤となるのか、といったことを見極めるには、的確な「判断力」が要求されることになります。

 

ところで、この「判断力」という資質は、単なるインプットという一方通行から生まれるものではありません。

何故ならば、それには常に「吟味し思考する」という作業が必要だからです。

 

「吟味し思考する」というプロセスは、あらゆるビジネスマンに必要な要素であり、特に経営者には欠かせない資質といえましょう。

それでは、この「吟味し思考する」という力を磨くにはどうしたらいいでしょうか。

 

私は、その最も適切な方法論は、アウトプット即ち「情報発信(アウトプット)」と考えています。

インプットした膨大な知識や情報は、一度咀嚼し、自分なりの感想やそれに対する向き合い方などを頭の中で整理する必要があります。

 

そして、それを「情報発信(アウトプット)」するという一連のプロセスを経ることによって、その知識や情報が確実に自分のものとなるのです。

それはまた、的確な判断を下すための最大の近道となります。

 

              書斎で仕入れる膨大な情報。

つづく