大学OB会の会長という絶妙のポジション―50年来の友情消える?!?―Ⅲ
大学時代から就職先まで一緒で、50年来の友人と思っていた相手に裏切られたという相談者。
その原因は何かと読み進めると、大学のOB会の次期会長に推薦してくれなかった、という極めて個人的な恨みであった。
全く別のレベルのことを考えていた私は、やや肩透かしを食ったのである。
別のレベル、というのは、半沢直樹のドラマに出てくるような強烈な派閥争いとか、背任、隠蔽といった職務上の許しがたいような正義に反する行為とか、人生を狂わすほどのプライベート上の裏切り行為とかいったものになる。
ということからすれば、私にとって「大学のOB会の人事問題」というのは、失礼ながら肩透かしのレベルに入ることになるのである。
とはいえ、この相談者のように比較的順調に会社人生を終え、会社の肩書が外れた人にとって、なんにしろ自分を証明できるような社会的ポジションというのは大事なものなのだろう。
そう考えれば、大学のOB会の会長などというのは絶妙のポジションだったのかも知れないのである。
彼は今回の相談を次のように締めくくっていた。
―このことがあって、私はOB会を退会。
闘病中だった彼はその後亡くなりました。
私の胸のうちを伝えることなく亡くなったので、心の整理がつきません。
どうしたらよいのでしょうか。―
ふーん、この人、その大事なOB会は辞めちゃったんだ。
「どうしたらいいのでしょうか・・・」ってあーた、そんなこと知らんがな!といいたくなるのをグッとこらえて、何か言ってあげるとしたらどういえばいいのであろうか。
相談者の期待を裏切ったその友人というのは、亡くなったということのようである。
この相談者の恨みごとを、ついぞ聞かないまま亡くなったようだ。
そのことをこの相談者は悔やんでいるようだが、傍から見ていてその友人は聞かないまま亡くなってよかったんじゃないか、とも思う。
そんな恨みごとを聞いたところでどうしようもないであろう。
この相談を最後まで読んでいて、俄然、その回答に期待がかかる。
この年配の男性の恨みごとに対してどのような回答が成されるのであろうか。
回答するのは作家の出久根達郎氏。
この人の回答は、大学の先生やお医者さんなどと違って、文学者なだけにいつもユニークなものが多く面白い。
今回も期待にたがわず、なかなか辛辣かつ的を射たものであった。
これは息子の卒業式ですが・・・・・
つづく