線引きをしてください!―ここから出ないで!!きっちり決めないと気がすまない女性の性格―Ⅲ
会計事務所とほかに経営している2つの会社との区切りをきっちりつけたい、というパートナーの女性税理士。
まあ、事務所の方の運営については多くの部分をお任せして、なにかと苦労をかけているだけに、その言い分はわからないではないのだが・・・・
『まあそれはわかるけど、そんなにきつく言わんでも・・・・』
と、私は心の中で思う。
『はいはい、そりゃあ、きっちりした方がいいってことは、わかってますけどね・・・』
と、あくまで心の中だけでつぶやくのだ。
口に出して逆らうなんてことは考えも及ばない。
まあ、彼女が主張するように、これまでこの問題は、あいまいに引き延ばしてきたことは確かである。
なんとかがんばれば、もうちょっとで目途がつきそうな気がしていたからなのだが・・・・
しかし、今回の彼女は強硬であった。
「そうやって、随分これまで先送りにしてきたじゃないですか。私も事務所の方が大変なんですから・・・そろそろきっちりと線引きをしてください!」
と責め立てる。
「線引き」という言葉を聞いて、60年前のあの日のことがよみがえってきた。
『ああ、あのときもカミさんにも全く同じことを言われたなあ・・・・「きっちりとここに線引きするからね!」と。』
60年も昔のことなのによく覚えているものだ。
男は多少今が曖昧模糊としていたとしても、総合的に先のことを考えて、まだ不確実な案件や試みに何らかの手を打っていることが多い。
やがて花が咲き、果実が実ると信じているからだ。
しかし、女性は家庭にしても職場にしても足元のことが大事である。
かつ、まじめな女性はきっちりとやるべきことをこなす。
彼女たちは、極めて優秀な現実主義者なのだ。
新聞ではニコッと笑っておりますが・・・・
つづく