美人を賛辞する言葉の数々―或るバーテンダーとの会話・・・マスク美人の話―Ⅵ

私が、結構苦労して探し当てた「美人を表現する言葉」の検索結果に、いとも簡単にたどり着いた息子。

「こんなのなんでもねーよ。」

と、やや自慢顔の息子に、

「肝心なのは、ただ探し当てることではなくて、その言葉の意味を深く味わうことなんだ。」

と負け惜しみ半分に言い返しながら、私は老バーテンダーとの会話を続けた。

 

私:この明眸皓歯(めいぼうこうし・・美しく済んだ瞳と、白く整った歯で美人の例え。)という言葉は、うろ覚えながら記憶にあったのですが、

紅口白牙(こうこうはくが)・・・赤い唇と白い歯の意から美人を指す。

朱唇皓歯(しゅしんこうし)・・・赤い唇と白い歯の意から美人の形容。

は、全く知りませんでした。とにかく、歯並びの良さは、昔も今も美人の絶対条件みたいですね。

バ:そのようですな。赤い唇と可愛く並んだ歯は確かにそそります。

私:逆に眉や目を強調した、美人を指す言葉が見つからなかったのが不思議です。それにしても「眉目秀麗」が男性のみを指す形容句だった、というのが意外でした。

バ:眉から目にかけての美人に対する賛辞は、その言葉に集約されていると思っていましたから、私もかなり意外でした。

 

その後も、さらに女性の美に対する侃々諤々の話題は続いたのである。

そこで私は、今回いろいろと調べた際に、美人を目とか歯とかのパーツで表現するのではなく、全体的に賛辞する言葉に面白いものがあることを発見した。

 

それは以下のようなものである。

閉月羞花(へいげつしゅうか)・・あまりの美しさに月も引っ込み、花も恥じらうほどの美人のこと。

羞月閉花(しゅうげつへいか)・・あまりの美しさに月を恥じらわせ、花も閉じてしまうほどの美人のこと。

仙姿玉質(せんしぎょくしつ)・・並外れた美人の形容

沈魚落雁(ちんぎょらくがん)・・これ以上の美人はこの世にいないという例え。

 

             この夜、とっておきの1杯と老バーテンダー

つづく