超険悪な雰囲気の修羅場―お節介事務所になるのか?「一応やってみましょうか?」のすすめ―Ⅴ
揉めておる案件の場合は、双方の言い分を存分に聞いてから落としどころを提案するというのが私のやり方。
それでも解決できないときは、弁護士さんの出番というケースも考えられるが、そこまで行かない方がいいんじゃないですか?というのが私の最終提案ということになります。
弁護士さんの仕事を邪魔するわけではないが、係争中の双方がそこまで持ち込むと、あとは本当にシビアな決着しか待っていない。
おそらくそうなっても感情的には納得できないのが人情ではないだろうか。
私は、できることならそこまで行かない方がいいのではないかと思っている。
双方100%納得とはいかないだろうが、法的な決着がつけば気がすむということでもないだろう。
話し合いの段階で済ませた方が賢いと思う。
まあ、こんな風にいらん世話まで引き受けて、争いごとの鎮静化を図るわけだが、私のこの方針に職員のみんなは必ずしも賛成なわけではない。
係争中の話し合いのとき、会議室からの怒号が聞こえるたびに、彼ら彼女らは、自分のデスクに向かって普段の仕事をしていても、極度の緊張を強いられるからだ。
「もう、所長、勘弁してくださいよ!」
という彼らの声が聞こえるようだ。
でもまあ仕方がない。
私と一緒に仕事をするというのはそういうことなのだ。
相続のほかにも、債権者会議という奴に何回か立ち会ったことがある。
これもまた恐ろしい修羅場である。
債務者である社長と私たち担当会計事務所で説明に当たるわけだが、とりっぱぐれかねない債権者さんたちからしてみれば、私たちはまず「敵」とみなされる。
超険悪な雰囲気の中で説明をしなければならない。
説明しているうちに、自分たち(債権者)のためにも必死になって取り計らってくれているんだ、という点が少しは伝わるので、みなさんやや落ち着いてはくるものの、非常に厳しい現場であることに変わりはない。
最後は、なんとか納得して帰ってもらうのだが、胃が痛くなるような思いというのは毎度のことである。
この場につき合ってくれる担当職員にも申し訳ないなあ・・といつも思う。
プレッシャーに押しつぶされそうになります。いつも。
つづく