「発表力」とは書き慣れるまで書いてみること―「情報発信(アウトプット)」に必要なキーワードは3つのH―Ⅲ
「情報発信(アウトプット)」を時系列に分解すると、発見力、発表力、発信力という3つのステップが必要になるということでした。
そのうち、最初の発見力は発掘力や採掘力と言い換えてもよく、発見しようという「考え方」や「姿勢」がなくてはならない、と解説しました。
次の「発表力」ですが、そもそも「発表力」という言葉は普通使いません。
というより、そんな言葉は、「世の中に無い」といった方が正しいでしょう。
私はこれを「発言力」にしようかとも考えたのですが、それでも少しニュアンスが違います。
「発言力」というのは、通常他者との力関係において使われる言葉だからです。
ここで私が言いたい「発表力」というのは、よく使われるところでは「表現力」という意味になります。
また、少し難しい言い方になりますが「言語化能力」と言っていいかも知れません。
せっかくこの「発見力」をもって発見した、わが社の素晴らしいエピソードやいい話があったとしても、それを表現する力が稚拙ではもったいないことになります。
これを磨くためには、「発見力」を解説する際に必要だと述べた「考え方」や「姿勢」だけでは対応できません。
ここでは具体的な「作業」が必要になります。
その作業というのは言うまでもなく、書いてみることです。
通常「情報発信」が言葉でなされる以上、「書く」という作業を端折ることはできません。
そしてその書く内容が充実したものになるためには、どうしても数をある程度こなして、書くことに慣れる必要があります。
したがって、「発表力」に必要な要素は特別なものではありません。
「訓練」あるいは「努力」といった月並みな言葉になってしまいます。
ここはどうしても、そういう初期段階を克服して「慣れ」の境地までいかなければなりません。
逆にここが「慣れ」の段階まで進みますと、初めの「発見力」も比較的スムーズにできるようになります。
つまり、「書くこと」がそれほど苦でなくなれば、気持ちが自然と書く材料を探すようになるのです。
そうなれば、「発見力」と「発表力」のお互いが相乗作用を発揮し始めるのです。
書き慣れることです。
つづく