女の子にもてるんじゃないか!?!―座高を計る、誤魔化しあったあの頃―Ⅱ(おしまい)
昔、身体測定の中にあった「座高」という項目。
当時、男子校の生徒だった我々アホな男の子たちは、何とか座高(胴の長さ)を短く、身長はできるだけ高く見せようと、涙ぐましい努力をしたのである。
計測が終わると、クラスメートがそれぞれの測定数値を持ちよって
「お前、やっぱり思った通り、胴が長いな。」
「うるせい!ちびのくせにガタガタ言うんじゃねい。」
「まあ俺は足だけは長いからな。」
と、なんともくだらない会話が飛び交っていた。
それでも私の通っていた学校は、進学校の端くれであった。
だから、そうやって騒いでいたみんなの頭の中身もそんなにアホな連中じゃなかったとは思う。
しかしまあ、なんとも他愛もない内容で競い合っていたことになる。
「座高」の測定はなくなったらしいから、今の若い子たちは、きっと私たちのように馬鹿みたいな誤魔化しを加える必要はなくなっただろう。
というより、現代っ子は充分足も長いし、顔なども小さいので、私たちのときのようなレベルでスタイルを気にすることなどないのかも知れない。
さて、昔そんなせこい操作を加えて誤魔化そうとしていた座高も、年を重ねて背中の方がもはや自然に丸まるようになってきた。
必死に高く見せようとしていた身長も、若い頃に比べると2センチくらい低く表示されるようになって、いささかガックリきている。
今の若い子たちは、私たちのように足の長さなどそんなに気にしないのかも知れない。
結局、あの頃は
「足が長けりゃ、女の子にもてるんじゃないか。」
と錯覚していたことになる。
まあ、現実はそんなこととは全く関係なく、足の長さ程度のことで、全面的にモテるなんてことはなかったわけであるが・・・
ふと思い出した「座高」の数値に一喜一憂していたアホな青春時代が懐かしい。
だんだん、背も縮んできまして・・・・
おしまい