足が長いのが一種の軽いステータス―座高を計る、誤魔化しあったあの頃―Ⅰ
最近、身体測定の項目から「座高」がなくなった、と何かの記事で読んだ。
もう長いこと、身体測定などやっていないが、確かに昔、学校での定期的な身体測定の中で「座高」というのがあった。
身長測定機に椅子がくっついたような形状で、そこに座って背筋を伸ばし、胴の長さを計るのである。
これにどんな意味があったのか・・・確かに今思い出してみても、その理由が思い当たらない。
「座高」を計ることが廃止になった、という記事の中には、何やらその理由について書いてあったが、忘れてしまった。
今思い出すのは、そんな理由がどうのということよりも、そのときの我々、中高生時代の取った行動である。
端的言えばこういうことだ。
「座高」を計るときは、ほぼみんな例外なく、背を曲げるなり、お尻をずらすなりして、できるだけ低く数値が出るように誤魔化そうとした。
逆に伸長を計るときは、うんと背筋を伸ばし、場合によってはつま先立ちせんばかりの集中力を持って、高く見せようとしていたのである。
あの頃は「足が長い!」というのが、一種の軽いステータスであった。
つまり、高い身長で胴が短ければ足が長い、ということになる。
計測した数値を誤魔化したところで、身長が高いか低いか、胴が長いか短いか、足が長いか短いかの厳然たる絶対値など変わるはずもないのに、懸命に背筋を曲げたり、爪先立とうとしたりしていたわけである。
「座高」を計るときは、担当の教師の
「こら!背筋をまっすぐ伸ばさんかっ!!」
という叱声が飛んだ。
逆に身長を計るときは
「顎を引いて普通に立て、普通に!!」
という叱声が飛んでいたのだ。
若い頃、足を長く見せたかったあの頃・・・・
つづく
つづく