サラリーマンは絶滅危惧種、日本型雇用システムはもう維持できない・・・―「働かないおじさん」特集に見る日本のビジネス業界事情―Ⅱ

「働かないおじさん」問題が日本の大きなテーマになっているらしい、と知って「日経ビジネス」の特集やインターネットのビジネスコラムを読み、その実態が少しずつわかってきた。

そこでまず、インターネットのコラムを引用しながらこの問題について分析してみたい。


記事のタイトルは「まもなく絶滅する「普通のサラリーマン」を待ち受ける三重苦」というかなり刺激的なものである。

それは「サラリーマンは絶滅危惧種」という小見出しで、次のような書き出しから始まる。


―サラリーマンはもはや完全に「絶滅危惧種」となった。

その理由は、日本の経済成長がほぼ止まったこと、人口の伸びが止まったこと、そしてなにより、少品種大量生産の時代が終わったことが挙げられる。
つまり、環境が変化したのである。―


これはいったいどういうことであろうか。

経済成長が止まり、人口減少に転じ、多品種少量生産の時代に変化することと、サラリーマンがいらなくなることとの間にどういった相関関係があるのか、もう少し読み進めてみたい。


―2019年5月、トヨタ自動車の豊田章男社長は記者会見で、「なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べた。

時を同じくして日本経団連の中西宏明会長も「終身雇用を前提に企業運営、事業活動を考えることは限界がきている」と発言している。

日本型雇用システムはもう維持できないと、経済界がついにさじを投げたのである。(中略)
激変する環境に対応するため、トヨタはいま本気になって、人事システムや評価制度の見直しを行っているのだ。―


つまりこういうことなのではないだろうか。

人口の伸びによって経済が成長し、横並びの標準的な商品を安く大量に市場に投入することでこと足りていた時代は、やはり横並びの標準的なサラリーマンを大量に営業に投入することで企業活動はこと足りていた。

しかし、量による経済成長がストップし、市場ニーズが複雑化した現在、そういった標準的横並び精神ではもはやもたなくなった、ということなのだろう。


そういった時代背景のもとに「働かないおじさん」という存在が次第に顕在化してきたのではないのか。

そのあたりについて、このコラムではさらに突っ込んだ分析を行なっている。

 

         「日経ビジネス」の特集。サバイバルが始まったらしい。

つづく