「決算書」についての大胆な見解Ⅲ
世の中に「決算書を読めるようになろう」系のビジネス書が多いのは何故であろうか。
それは表向きの正当ともいえる理由は、
「決算書の中には、企業の様々な業績に関する情報が凝縮されているから。」
ということになるのであろう。
実際簿記会計に関する様々な決まりごとは実によくできていて、古代から培ってきた人類の叡智と言ってもいいくらいのノウハウが詰まっている。
しかし一方で、五藤氏の言われるように、決算書の読めない経営者がまるで駄目かといえば、そうでもないことを、我々会計人は経験的に知っている。
それでも我々会計人が決算書を重んじるのには、表向きではない理由も垣間見えるのである。
それは
「決算書で経営を語る方が、自分たちの得意分野で勝負できる。」
と、心得ているからに他ならない。
年間、延べにして何百社分の財務諸表を見ている会計人にとって、決算書はまさに得意分野である。
ホームグラウンドで勝負ができればこんな楽なことはない。
また、決算書は「結果」の数字である。
経営者の中には「読み」の数字には強くても、決算書のような定型化された「結果」の数字にはあまり興味の持てないタイプの人がいるのである。
つづく