決算書についての大胆な見解Ⅱ

 

 

我々税理士の大半は、経営者に対して「決算書が読めること」を希望する。

「決算書が読めなくて経営ができるか!」

「決算書も読めないで経営者といえるか!」

と、強く思っているかも知れない。

 

しかし、著者の五藤氏は「そんなの関係ない!」と一刀両断している。

 

― どんぶり勘定を馬鹿にする税理士の先生などもいますが、商売のセンスと持ち前の事業勘で、決算書は読めなくても、どんどん事業を豊かに大きくさせていく経営者はいくらでもいます。

むしろ、下手に決算書を気にするようになって判断が鈍ったり、機動力が悪くなるとすれば、本末転倒なのです。―

 

とさえ言い切っているのだ。

決算書に注力することのマイナス点まで言及しているのは珍しい。

 

確かに、世の中に「決算書を読めるようになろう」系のビジネス書はいくらでも出ているが、五藤氏のようにその逆を言い切っている見解はかなり少数派であろう。

 

私の経験から言えば、決算書というより会計経理(つまり数字)に強い経営者もいれば、そうでない人もいる。

そのどちらが優れた経営者かといえば、それはどちらとも言えないのが現実である。

 

つづく