ライバルよりも高速で実現できるか否かが、勝負を分ける―メイドインジャパンンの不振からビジネスを考える―Ⅳ

日本の得意とする「減点型の完璧主義」といった手法が、かつてメイド・イン・ジャパンを支えた強みであった。

ところが、世界の潮流としては、もはやこのやり方では通じなくなっている。

世界のものづくりの潮流というのはいったいどのようになっているのであろうか。


この点に関して、筆者は世界のトレンドは「加点型の完璧主義」というタイトルで次のように述べておられる。


―いま世界で勝ち上がっているのは、「加点型の完璧主義」だ。

こちらでは、おもしろいアイデアが出てきたら、できる限り早くMVP(Minimum Valuable Product)に仕上げてリリースする。


 MVPとは、「最低限の価値を持った商品」を意味する。

それを一度リリースしてみて、まずは市場の反応を見る。

そして販売と並行して、市場の反応がよかった要素をさらに伸ばし、悪かった要素は優先的に改善してバージョンアップしていく。

このサイクルをライバルよりも高速で実現できるか否かが、勝負を分ける。

だからシリコンバレーでは、「最初のプロダクトが恥ずかしいものでないなら、それはリリースが遅すぎた証拠」とまで言われる。―


「加点型の完璧主義」とは珍しい言葉である。

日本型の完璧主義はそのまま日本人には分かりやすい。

リスクがありそうな要素はできるだけ省いていって、隙のないお利口さんな製品に仕上げていく、というのは日本人の得意とするところである。


しかし、「加点型の完璧主義」というのは、解釈が少し難しい。

日本人的には、加点型で果たして完璧なものに仕上がるのだろうか、という疑問が湧いてくる。

普通、加点はそのプロセスにいて、常に新たな次のリスクを伴うのではないか、と考えるからである。


しかし、ここで「バージョンアップ」という考え方が出てくれば、話はまた別である。

完璧な状態になれるかどうかは別として、常により良くなっていくことになる。

そこを目指せばいいじゃないか、ということであれば、このやり方も「有り」ということになるのだ。


そもそも「最初のプロダクトが恥ずかしいものでないなら、それはリリースが遅すぎた証拠」というくらいだから、日本とはものづくりへの考え方がまるで違っていることになる。

そうなのだ!

最初は恥ずかしいくらいの突拍子もない発想のものをリリースしなければ、世界では評価されないのである。

 

                   日本企業がんばれ!

つづく