日本の得意とするのは「減点型の完璧主義」―メイドインジャパンンの不振からビジネスを考える―Ⅲ

ものづくりにおいて、日本企業が求める「完璧主義」というものが、世界のトレンドからズレてしまっている、という筆者の指摘は、いったいどういうことであろうか。


その点について次のように述べられている。
―日本では、あらゆるビジネスにおいて「最初から完璧」が目指される。

ただし、ここで目指されるのは「減点型の完璧さ」である。

尖ったビジネスアイデアの、新しくておもしろいが、リスクや穴のある要素は、早期に取り除かれやすい。

魅力的に発展しうる要素を切り捨て、安全・無難で、これまでの延長線上の少し先にあるような、小さくまとまった新商品に仕上げられていく。


 開発・プロモーション・販売も前例に基づき、慎重に、長い時間と労力をかけて完璧なプランで新商品をリリースしようとする。

緻密なプランがあるがゆえに、最初の市場の反応が良くても悪くても、それが予想と異なっていたときにすばやい軌道修正を行うことは難しくなる。


このように、おもしろいが危うく伸びそうな「価値の枝葉」を早期に取り除き、じっくり時間をかけて、きれいで小さなプロダクトへ磨き上げるのが日本の得意とする「減点型の完璧主義」だ。

ここでは、完璧に完成された1つのプロダクトをつくって、広めることがビジネスのゴールとなる。

これはかつてのメイド・イン・ジャパンを支えた強みだが、近年における世界のトレンドからは逆行するものになってしまった。―


ここを読まれて

「うわー、そうだよなあー。日本企業って確かにはそうだよなあ~」

と、思われた方は多いのではなかろうか。

日本企業の持つ弱点を極めて的確に指摘しておられると思う。


逆に

「だから良かったんじゃないか。それで何が悪いのだ!?!」

と思われた方もいるかも知れない。

或る意味、生真面目にものづくりに取り組んできた日本企業には、上記のような体質が染みついている。

また書かれているように、それが日本企業の強みでもあったはずだ。


しかし、ものづくりにおける世界基準の価値観はすっかり逆転してしまったようである。

上記のような完璧で緻密なプランでものづくりを進めると、世界との競争において、どういった結果になるのであろうか。

             様々なビジネスフェアが行なわれる東京ビッグサイト

つづく