幸せになる、という才能以外は、あらゆる恵まれた才能を持って生まれてきた男―憧れる男の生き様・・先輩男性俳優から見える国別カッコいい男たち―Ⅱ
美男子にもかかわらず、或いは美男子のくせに(日本には「のび太のくせに・・」というセリフがありますが・・)俳優として大きな成功を収めることができたアラン・ドロン。
彼は、世界の中でも、特に日本での成功が大きかったといわれています。
アラン・ドロンと同世代の俳優にジャンポール・ベルモンドがいます。
お世辞にもハンサムとは言えない顔立ちですが、本国フランスでは一時期、アラン・ドロンよりもはるかに人気があったといいますから、フランス人の好みというのは、日本人(特に日本の女性)とはかなり異なるようです。
日本びいきの彼らが仲良く登場した新聞CM
日本では、レナウンの「ダーバン」というブランドがアラン・ドロンをCMに起用して、大成功を収めました。
「ダーバン」は彼を起用したことで、一挙に全国展開可能なナショナルブランドとしての認知度を獲得したのです。
余談ですが、その「ダーバン」も、おおもとのレナウンが経営破たんしました。
先日デパートに行ったらスーツが半額セールで売られていたのですが、この様子を見たら、アラン・ドロンはどう思うかな?と、チラッと考えさせられました。
「ダーバン」のCMは、数十年経った今でもユーチューブで観ることができます。
数年以上にわたって製作されたこのCMは、シリーズ化され、ビジネススーツやフォーマルウエア、またカジュアルウエアをまとったアラン・ドロンを見ることができるのです。
その佇まいには、今見ても「カッコいいなあ・・」と思わせるだけの説得力があります。
とはいえ、私生活面でアラン・ドロンがベストドレッサーとして語られることはあまりありません。
顔もガタイも良すぎたために、実生活での彼は、服にはそれほどこだわらなかったのでしょうか。
先般、NHKで「アラン・ドロン ラストメッセージ」というドキュメンタリーインタビュー番組が放送されました。
おそらく、日本人に向けての、特別なはからいだったのでしょう。
その中で、彼が親しい友人に
「君はあらゆる恵まれた才能を持って生まれてきた。幸せになる、という才能を除いては・・」
と言われて、ゾッとした、と語っています。
「それはその通りだから・・・」
と語る彼の人生を思うとき、あの人を寄せ付けないようなちょっとクールな佇まいは、本人も心から自覚してのことなのだな、とつくづく思わされるのです。
映画「冒険者たち」の1場面
つづく