長年疑問視され、改善すべきと思われてきたことがコロナ禍で顕在化―踊らされないためには・・「仕掛け」に乗るのか乗らないのか!?―Ⅶ(おしまい)

業界の側から、販売シーズンの正常化及び持続可能性向上のため、過剰な生産、生地や在庫の廃棄を減らすことやデジタルショールームを活用して、関係者の出張を削減する、といった提言をしたファッション業界。

これに賛同する世界の業界トップ経営者も多い中、日本ではどういった反応が示されているのであろうか。


この記事では次のようなインタビューが紹介されていた。
―(今回の提言に対して)署名した衣料品大手「ユナイテッド・アローズ」の栗野宏文上級顧問は

「業界の中で長年疑問視され、改善すべきだと思われてきたことがコロナ禍で顕在化した」

と語る。
さらに

「ここ数年、ファッション業界のスピードは一段と加速化し、無駄が増えた結果、地球環境に負の影響を与えていると痛感していた。賛同する人が増えるほど、慣習は変えられるはず」

と話す。―


余談になるが、実は私も、まだ東京に住んでいる頃、この栗野さんに接客されて服を買ったことがある。

当時彼は、原宿にある「BEAMS F」に勤めていた。


他の若い店員よりははるかに言葉に説得力があり、そのときは確かジャケットを購入したことを覚えている。

その後彼は、メンズファッション業界の重鎮として、度々、雑誌やその他のマスメディアに登場している。


「ユナイテッド・アローズ」は、世界中のブランドから服を吟味して販売しているセレクトショップの大手だが、栗野氏が言われているように、ファッションのシーズン対応がごちゃごちゃしてきていて、売る方も大変そうだな、という印象を持っていた。

業界自ら選んだスピード化が、自分で自分の首を絞めている、という印象を禁じ得ないのだ。


これからはファッションに敏感な若い層を含めて、このスローダウンにつき合っていくのであろうか。

昔は、インベストメントクロージング=投資価値のある服、という言葉があって、特に男性の場合、「いいものを長く着る、という考え方が大事である。」などと学んだものだが、ファストファッション全盛時代になって、そんな言葉もどこかに吹き飛んでしまった感がある。


ファッション業界のスローダウンという流れは、大いに結構なことだと思う。

私も自分のスタイルというものを確立して、業界の思惑にあまり踊らされないよう服を楽しんでいこうと思っている。

 

 

おしまい