「気持ち」や「情熱」といった「向き合う姿勢」が大事―経営者が物語(ストーリー)を持つべき理由―Ⅲ

自分の経験を『物語』のレベルまで昇華させる「知的作業」が実践できる経営者のあまりの少なさに、この取り組みは、そう簡単ではないのだ、と気付かされた私。

とはいえ、何とか実現してもらいたいこの試みのなにか大事なポイントのようなものはあるのでしょうか。


この取り組みには、先述のように一見知的水準の高さが一番に求められそうな印象を与えます。

しかし、実際には決してそんなことはありません。


「知的作業」というような書き方をしたので、そこに目が行きがちですが、そこにのみ注目したのでは、誤解を与えてしまうことになります。

もっと大事なポイントがあるのです。


それは「知的作業」よりもむしろ「向き合う姿勢」の方が大事なのです。

自らの『体験』を『物語』に昇華させ、部下や若い世代、その他自分を取り巻く様々な人たちに是非伝えたい、という「気持ち」「情熱」といった社長の「姿勢」そのものが問われるのです。


とはいえ、言葉を駆使して『物語』を作るのは確かに少し大変な「知的作業」になるといえるかも知れません。

それでもこの作業には、必ず大きな「見返り」があるのです。


それは、そのプロセスにおいて、自らの知性がかなり磨かれていくということになります。

そして、その結果は間違いなく周りからのプラス評価につながるということです。


どうしても難しいようであれば、一つの方法として、それを経験し実践してきた先駆者に直接そのノウハウを聞いてみるということを試してみてください。

数は少ないですが、自分のキャリアを上手に話される先輩経営者がいます。


そういう方たちとの直接のやり取り、或いはそういった方たちの講演やセミナーなどを通じて学ぶのです。

今はネット上でそういったお話や講演といったものは、こちらからきちんとアプローチすれば、かなりの数が出回っているので、自分にフィットするものを探すことができるでしょう。


もちろんそういった人たちの著書などからでも構いません。

そこには多くの引き出しから溢れ出た『物語』が記されているはずです。

 

         先駆者の著書には、様々な『物語』が・・・・

つづく