地縁血縁義理人情ビジネスモデルの崩壊―新たな価値観の創造を模索する時代に―Ⅳ

自分が迷惑をこうむるか否か、即ち儲かるか損するか、という視点しかなかった町の商工業者。

ああこのマインドでは、まともな競争にさらされたとき勝ち目はないな、と思った私でした。

 

これでお分かりになる通り、「地縁血縁義理人情顔パスモデル」は、一見、相手のことをとても思いやっているように見えて、実はビジネスレベルとしてはそれほど高いものにはなり得ません。

というのは、

「知らない仲じゃないんだから、(提供する商品のクオリティも)これくらいでいいじゃないか。」

といった「甘えの構造」が生まれるからです。

 

徹底的に自分の提供する商材やサービスのクオリティを上げていこうという精神よりも、普段どれだけ親しく付き合っているか、が、ビジネスを遂行する際のバロメーターになるのです。

逆にそこが手薄になると、先述したような非難を浴びることになるのです。

 

お分かりになると思いますが、この世界では、営業も販売促進もそれほど必要ありません。

またそのために、営業や販売促進に不可欠とされる、マーケティング的な感覚も全く磨かれてきませんでした。

 

ビジネスに最も必要な要素をシンプルに表現するとすれば、「商品力」「販売力」ということになります。

いくら「商品力」があっても営業や販売の力が弱ければ、モノは売れません。

またいくら「販売力」が強くても、商材のクオリティが低ければ、営業は苦戦を強いられます。

 

特に「販売力」がなくても、これまでなんとかやってこられたのが、地方における商売の世界でした。

何故ならば、これまで述べてきましたように「地縁血縁義理人情顔パスモデル」で、充分に成立していたからにほかなりません。

 

しかしそれは、結果として「商品力」に磨きをかけることも疎かにしてしまったのです。

ビジネスに必要とされる2つの要素のどちらも欠けるとしたら、地方における商売は衰退するしかなかったのです。

 

 

つづく

 

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