地縁血縁義理人情ビジネスモデルの崩壊―新たな価値観の創造を模索する時代に―Ⅲ

「地縁血縁義理人情顔パスモデル」に代わる次のモデルがなかなか発見できないでいる現在の地方経済事情。

 

人口減少や高齢化によって、「地縁血縁義理人情顔パスモデル」の存在そのものが危うくなっているというのはその通りなのですが、それだけではなく、このモデルが長年抱えてきた大きな問題点があります。

この問題点ゆえに地方のビジネスは発展の可能性を削がれてきた、といっても過言ではありません。

 

その問題点というのは「甘えの構造」ということになります。

 

以前、街の商工会において「大店法」の是非について、会員である商工業者の方たちと議論をしたことがありました。

その会議の際に、ある商工業者の方がこんな発言をされたのです。

 

「いい商品を安くで販売する大きな企業の大店舗が進出してきたのでは、我々はとても太刀打ちできない。なんとか阻止して欲しい。」

 

私はこれを聞いたとき、とっさに

『ちょっと待ってください! ということは、我々この地域の消費者は、たいして良くもない商品を高い値段で買っていればいいじゃないか!ということですか?!?』

と、頭の中で叫んでいたことを思い出します。

少なくとも、この人にとって、

「できるだけいい商品を消費者に届けたい。」

というマインドは、頭の中から抜け落ちていたのでないでしょうか。

 

つまり、この商工業者の方にとって、消費者がどう考えるか、という視点は全くなく、自分が迷惑をこうむるか否か、即ち儲かるか損するか、という視点しかなかったことになります。

もちろん日々苦労しながら商売をなさっているのでしょうから、やむにやまれぬ発言だったのかも知れませんが、私はこれを聞いたとき

『ああこれでは、地方はシビアな競争にさらされたとき、とても勝ち目はないな。』

と思わされたのです。

 

つづく

 

 

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