基本がないまま着崩してしまうと迷走飛行状態へ―「外し」の楽しみ・・ファッションはド直球だけじゃつまらない―Ⅷ

スーツに赤い靴下、などという「外し」を私は決してしませんが、そういう荒業(あらわざ)を使える達人が世の中にはいるようでして・・・・・

 

ただし、こういう「飛び級」の荒業を使うには、一定の条件があると私は思います。

それは、「着ること」の基本を、その人が徹底的に知り尽くしているということです。

 

スーツに赤いソックスを合わせる、などという力技(ちからわざ)を見せるイタリア親父は、そもそも真っ当な着こなしも散々やり尽くしての所業であり、最初からいきなり、そうやって遊んでいたわけではないだろう、ということです。

基本がないまま着崩してしまうと、おかしな方向への迷走飛行が際限なく広がってしまう可能性があります。

 

アーティストとか特殊な業界の人ならともかく、通常のビジネスマンであれば、基本ができた上での遊び、即ち「外し」であることを忘れないでいただきたいと思います。

尤も、ローリングストーンズのチャーリーワッツのように、バリバリのアーティストでありながら、英国スーツのバッチリ似合う人もいたりするから、男のファッションはなかなか奥が深い。

 

アーティストといえば、以前、アンディウォーホルタキシードのジャケットにジーンズを合わせてパーティーに登場した写真を見たときは、カッコいいな、と思ったものでした。

彼はそのほかのシーンでも、ジャケットにネクタイを締めて下はデニムというスタイルがよく撮られていましたが、いずれもカッコよく決まっていました。

 

ウォーホルのように、パンツで外す、といえば映画監督で俳優でもあるウディ・アレンジャケットにヨレヨレのコットンパンツといったファッションをよく見かけました。

その外し具合が、彼の貧素とも見える体形に妙にマッチしていてそれなりにカッコよく見えたものです。

 

これは、ブラウン系とベージュを合わせていてあんまり「外し」はしていませんな。

 

つづく