今は、寂しいと思うひまもなく―クリスマスと言えば思い出すこと―Ⅲ(おしまい)
もう30年以上昔の出来事。
2年続けて、義姉や弟が訪ねてきたクリスマスイブの夜の話。
こんな風に、クリスマスイブの夜になると、あの頃のことを思い出す。
娘たちがまだ小さい頃だったから、30年以上昔の話である。
その後も私の家族は、クリスマスイブの夜、それぞれがバラバラなどということはなかったような気がする。
というより、催事を比較的大事にするカミさんは、子供たちが喜びそうなイベントごとは、年間を通じて積極的にいろいろと演出などしていた。
そうやって育った子供たちも、やがて成長して大学生や勤め人になり巣立っていった。
その後、カミさんと二人になったとき、二人だけのクリスマスというのは何年か続いた。
それでもケーキなど買ってきて、普段はしないテーブルクロスなど敷いて、ささやかなごちそうを並べたりはした。
それを写メで撮って、離れて暮らす子供たちに送るのである。
こんな形で二人になってからのクリスマスというのはしばらく続いた。
それが今年はとうとう一人になった。
晩飯には、せめていつもより凝った料理でもと思っても、そんなごちそうを作る腕もないし、作ったところで、一人でそんなに食えるものではない。
とはいえ、あのときの義姉や弟のように、誰かを訪ねなければたまらない、というほどではない。
あの頃クリスマスといえば、バブルに向かってなんだかんだと喧騒に満ちたイベントであった。
クリスマスへの思い入れそのものが、今よりもっと重たかったのかも知れないな、と思う。
お正月には私も家族に合流する。
あと数日後のことだ。
寂しいと思うひまもなく、結構慌ただしいのである。
街もライトアップだよなあ~・・・
おしまい