よほど人を寂しくさせる何かがあったのか?! ―クリスマスと言えば思い出すこと―Ⅱ

私の中で、すっかり風化してしまったクリスマス。

しかし、クリスマスといえば思い出すことがある。

 

私たち夫婦は、結婚してしばらくは東京都心から少し離れた郊外の小さなアパートで暮らしていた。

すぐに長女が生まれたので、結婚後それほど経たないうちに、親子3人の生活が始まったのである。

 

そのささやかな暮らしを送っているときのクリスマスイブの夜だった。

カミさんの上の姉、長女である義姉が、突然訪ねてきたのである。

 

なんでも、義姉の夫である義兄は、その夜飲み会で遅くなる、ということだったらしい。

また、義姉の一人娘である姪もコンサートかなんかで、その夜はいない、ということだった。

 

義姉は、口にこそ出さなかったが、家に一人でいるのが、どうにもこうにも寂しくなったのだろう。

電車で1時間ほどのところに住む、妹であるカミさんを訪ねてきたのだ。

 

私たち夫婦は、もちろん「どうぞどうぞ。」と歓迎し、食事を一緒にした。

そんな感じで、義姉が訪ねてくることなど初めてだったので、私たち夫婦は少し驚いたことを覚えている。

 

義姉が帰った後、

「イブに一人というのは、よほど寂しかったのかもね。」

と二人で話した。

そんなクリスマスの夜があったのだ。

 

ところが、あくる年のクリスマスイブの夜、今度は私の弟が訪ねてきた。

弟もそんな感じで来ることなど、それまでなかったので、これにも少々驚いた。

 

あの頃、弟は独身で、確か彼女もいなかった。

彼も口にこそ出さなかったが、一人でいるのがなんだか寂しくなったのだろう。

 

あの頃、クリスマスに一人というのは、よほど人を寂しくさせる何かがあったのだろうと思う。

今とはまた違った時代の雰囲気というものがあり、それが義姉や弟の心を揺り動かしたのかも知れない。

 

         これは珍しい。逆さのクリスマスツリー🎄

 

 つづく