勝ちに行く! え!? 勝ちにいかないの??―地方に蔓延する負け犬思考―Ⅰ

数年前のことである。

私の事務所としては比較的大手クライアントさんの決算会議のときだった。

今期の業績に関する報告や分析がひと通り終わって、来期の経営計画の説明が始まった。

 

私は、その目標数値を聞いて驚いた。

なんと、今年を下回る目標数値だったのである。

少なからず驚いたのには理由がある。

 

それは、今期の数字もあまり良いものではなかったので、当然来期は挽回を目指すと思っていたからだ。

ところが、それほどパッとしなかった今季をさらに下回る目標だったのだ。

 

この会社の経営計画策定に私の事務所は参加していなかった。

参加していればこんな計画は立てさせなかっただろうと思う。

今考えれば、それが想定されたから参加させなかったのかも知れない。

 

そのとき初めて明かされた経営計画に、私はやや憮然として疑問を呈した。

「今年を下回る数値のようですが、どうしてそのような計画になるのですか?当然、上を目指すべきと思うのですが・・」

 

すると会社側の説明は次のようなものだった。

「現在の経営環境では、売上のアップは望めない。ここに示した数字程度になんとか収まればそれでよし、と考えている。」

 

私は即座に

「しかし、始める前から売上ダウンを想定して、そこで留まれば上出来などと思っていたら、おそらく現実の数字は、それよりもっと下回りますよ。」

と、反論した。

会場に、冷たく重い空気が流れた・・・・

 

 

 

つづく