趣味はいるのか?―何もない人生と言われたとしても・・―Ⅰ
私には趣味がない。
昔、税理士会の名簿に載せるのに「趣味」を書く欄があった。
大抵の先生は、読書、ゴルフ、散歩、ジョギング、山歩き、釣りといったものをあげておられた。
当時の私は、ゴルフにもよく行ってはいたが、それを「趣味」としてあげるつもりはなかった。
読書もまあまあ途切らせることなく続けている方だと思うが、やはり「趣味」と呼ぶのには抵抗がある。
そもそも「趣味」で本を読んでいるつもりはないからだ。
というわけで、あれこれ考えて、「飲酒」と書いたことはあった。
ずっとお酒は好きで、晩酌を欠かしたことはなかった。
お酒だったら「趣味」と公言することに抵抗はなかったのである。
酒量は多少減ってきたものの、酒だけは途切れることなく嗜んできたのである。
ところが、4,5年前のことだが、お酒を飲んでいて、ひどく気分が悪くなったことがあった。
それは、飲み過ぎて気持ちが悪くなった、といった類のものではなかった。
目がかすみ、冷汗が出て、心臓が締め付けられるような気分がして、ひっくり返ってしまったのである。
しばらく安静にしていたらおさまったが、それっきりお酒があまりおいしくなくなった。
その後もお酒の席で、2度ほど同じような気分の悪さに襲われた。
そうしていよいよお酒がおいしくなくなったのである。
というけいいがあって、それまでほぼ毎晩続けていた晩酌をやめてしまった。
お酒をお飲まなくても、普通に眠れることも確認できたので、必需品ではなくなったのである。
もちろん、今でも懇親会やちょっとした酒の席という奴には、ちゃんとつき合っている。
しかし、それ以上に進んで飲むことは、昔に比べて極端に少なくなったのである。