これでいいのだ―確かにこれまで「いい加減」だったけれど・・・―Ⅰ

かれこれ10年近く昔のことである。

いつもの飲み屋さんで飲んでいると、業界仲間のK税理士が、なんか渋いおっかない顔をして店に入ってきた。

 

店の女の子もすぐにその様子に気がついて

「どうしたの?K先生。おっかない顔しちゃって・・」

と、尋ねる。

 

すると彼は

「今日から俺はチャラチャラした態度は改めることにする。年齢に相応しいふるまいに徹することになるから、そっちもそのつもりで。」

と、答えるではないか。

 

いつもはひょうきんな飲み仲間のKちゃんが、マジな顔してそんなことを言うもんだから私も思わず聞いてみた。

「なんかあったの?Kちゃん。急に豹変しちゃってさ。」

 

すると彼は

「さっき、税理士会の会合が終わった後、先輩のE先生に呼び止められて

『おい、K君、君たちはいつもなんか仲間内できゃあきゃあ遊んでいるようだけど、男はいい年になったら、貫禄を見せて、それなりの態度振る舞いをしなきゃあならん。いつまでもチャラチャラしてちゃあ世間に笑われるぞ。』

って言われてさ。

なるほど、そんなもんか。と思ったので、今日から俺はもうチャラチャラしないことにした。

これからはあんまりヘラヘラ笑ったりしないからあんたたちもそのつもりで。」

と、まじめな顔して答えるではないか。

 

まあ、そんな助言を真に受けて、その瞬間から豹変できるKさんも面白い奴だが、それを言う方も言う方だな、となかなか興味深かった。

 

店の女の子からも

「えーっ、そんなのK先生には似合わない。やめた方がいいよぉー」

と、すぐにちゃちゃを入れられたのである。

 

こういう渋さだったらいいと思うけどさ。(本文とは特に関係ありません)

 

つづく