設立時の思いは「何とか軌道に乗ればそれで御の字」―事業承継支援、というけれど・・・―Ⅱ

さて、廃業を考えている理由について、

「その約3分の1は、後継者難によるものです。」

という今回の解説。

私も聞いていて「なるほど、その通りだが・・・」と思いました。

 

ただ、「その通りだが・・・」と、少し歯切れが悪くなったのには理由があります。

それは、どうしてもその1番に挙げられていた「当初から自分の代かぎりでやめようと考えていた、38,2%」という理由が引っかかったからにほかなりません。

 

確かによく考えてみれば、なにかしら商売なり事業を始めるときに

「よしっ、俺はこの会社を何十年も続く老舗にまで育て上げるぞ。」

と決意して取り掛かる人などむしろ少ないのではないでしょうか。

おそらく

「まずは何とか軌道に乗ればそれで御の字だ。」

くらいに思って始める人がほとんどだと思います。

 

今、企業の寿命が短くなっており、設立から5年もつ企業はごくわずかだといわれています。

昔に比べれば、法人設立からの寿命は間違いなく短くなっているのでしょう。

 

しかし、昭和の時代、まだ日本が高度経済成長期にあったころ、設立した会社がそんなに残っているかといえば、統計資料を見たわけではありませんが、それほど多くはないと思います。

時代によって多少の差はあれ、企業の寿命など平均のデータを取ればそんなに長くはないのではないでしょうか。

 

つまり、何が言いたいかというと、そもそも人が起業するとき、この事業を未来永劫続けたい、などと思う人は少なく、今回のレジュメの統計にあったように「当初から自分の代かぎりでやめようと考えていた」というのが妥当な線ではないのか、と思うのです。

そう考えると、今我々が懸命に取り組もうとしている「事業承継支援」にも、少し違った側面が見えてきます。

 

あれこれ計算して設立するけれど・・・・

 

つづく