やっぱり自分の思い通りに行こう!―「それこそ」がよかった時代は、実は「それでも」良かった時代だった―Ⅱ
帰鹿した私に、母が押し付けてきた強烈な田舎の価値観。
もちろん母だけでなく、ことあるごとにいろいろな人たちから、地方特有の価値観については、それに従った方がいいといった指摘は受けた。
しかし、こちらも、東京で10年以上自ら立ち上げたビジネスを展開して、40歳過ぎてから家族を連れて帰ってきた身である。
そう簡単に向こうの価値観を受け入れる気にはなれなかった。
『郷に入らば郷に従え』ということわざもある。
受け入れる気になれなかった、とはいえ、多勢に無勢である。
「もしこの先、先方が言うようにそれに従わなければ仕事がうまくいかなくなるかも知れない。」
という思いと恐れは、私を迷いに迷わせた。
しかし、田舎に帰って3年ほど過ぎたときである。
何のきっかけだったか忘れたが
「いや、やっぱり自分の思い通りに行こう。そうでなければ、この先とてもやってられない。」
と、開き直ったのである。
今考えれば、それで正解だった、というか、正解はそれしかなかったとつくづく思う。
あそこで、田舎型のビジネスマインドを受け入れていれば、到底今の姿はなかっただろう。
逆に田舎型の地縁血縁関係に依拠していた町の商売は、どんどん廃れていった。
すでに商店街の体をなしていなかった町なかの本通りは、ほとんどゴーストタウンのようになってしまった。
これは私の故郷に限ったことではない。
全国、津々浦々そのような光景がどこでも見られたのである。
つづく