「人間主義的資本家」の経営観は?ーブルネロクチネリに見る働き方改革に関する一つの考え方ーⅥ(おしまい)
さて、様々な意味で人間性を大切にしてきているファッションブランド、ブルネロ・クチネリであるが、現在どのような経営状況に至っているのであろうか。
特集記事では次のように紹介し、締めくくっていた。
―同社は12年にミラノ証券取引所に上場し、18年の売り上げは約700億円に上った。
また、こうした企業経営と地域の再生の結果、美しい村として観光客も訪れるようになった。
村内にある「ブルネロ」の店の女性店員は「働く環境がいいし、年々遠方からの客も増えて忙しくなったけど、楽しい。」と話す。
近年、クチネリ氏は欧米のメディアで「人間主義的資本家」と呼ばれることがあり、企業のあり方を模索する起業家や投資家らが世界各地からヒントを求めてやってくる。―
700億円売り上げるファッションブランドというのが、どれほどのものなのか、私にはよくわからない。
日本企業の場合、レナウンが直近660億円、三陽商会が725億円、オンワード樫山が2400億円だから、レナウン、三陽商会など日本の大手服飾メーカーと同等ということになる。
1970年代から出発した一つのブランドとしては、急成長と言っていいのではないだろうか。
そこまで急成長したブランドでありながら、「人間主義的資本家」と呼ばれるほど働く人を大事にする、というのも稀有な経営姿勢である。
日本では「働き方改革」が、政府の音頭によって進められ始めて、中小企業などはそれについていくのがやっとの状況である。
そんな中、このブルネロ・クチネリの経営姿勢をどれほど参考にできるだろうか。
記事の最後には、アマゾンドットコムのCEOジェフ・ベゾスなど企業経営者が訪れ、3日間滞在してクチネリ氏と議論した、と書いてあった。
彼らはいったいどんな議論を交わしたのであろうか。
おしまい