大切なのは、毎日働き、学び、空を見上げ、心を癒すことーブルネロクチネリに見る働き方改革に関する一つの考え方ーⅤ
時間外の電子メールには返事をしなくてよい、というのは、どういった方針のもとに実施されているのか・・・
この点については、今回の特集記事の中でCEOのブルネロ・クチネリ氏に直接インタビューした部分があったので、それを紹介したい。
クチネリ氏はインタビューに対して次のように答えている。
― 技術は発達し、世界とつながっていられるので、本社が都会にある必要なない。
ただ午後5時半以降に電子メールを使わないようにというのは、テクノロジーはコントロールしなければ、人間がダメになるからだ。
仕事は人生の中で重要なものだが、バランスがとれていなければいけない。
大切なのは、毎日働き、学び、空を見上げ、心を癒すことだ。―
なるほど、ラテン系のイタリア人らしい明快な哲学である。
仕事を重要なものとしつつ、それに縛られることを良しとしない、というのは大事な考え方なのだろう。
これまでの日本人には、なかなか受け入れられない哲学なのかも知れない。
情報に関しては、瞬時に世界とつながることが可能な環境になったために、クチネリ氏の言うように、もはや本社が都会ある必要はないのかも知れない。
それほど、現代の情報をやり取りする技術は進んできている。
その恩恵は計り知れないと言えよう。
また、一方で「テクノロジーはコントロールしなければ、人間がダメになる・・」というのも大切な考え方である。
過度のネットワークへの依存や、スマホが全く手放せない状況などがしばしば問題として取り上げられる世の中である。
実際、私などもインターネットを通じて、別に必要もない動画などをつい長時間見ていることもある。
あとで考えれば、全く無駄な時間だったということもしばしばである。
つづく