働き方や賃金も適正でなければならないーブルネロクチネリに見る働き方改革に関する一つの考え方ーⅣ
人口5000人の田舎の村に本社を構え、ファッションブランドだけでなく、学校、劇場、図書館なども建設して地域に貢献しているブルネロ・クチネリだが、その経営哲学はどのようなもので、社員はどのような働き方をしているのであろうか。
CEOのブルネロ・クチネリ氏は次のように語っている。
―「社員が仕事に誇りを持てなければ、上質で美しい製品は作れない。
そのために働き方や賃金も適正でなければならない。」―
と、クチネリ氏は説明している。
地方の企業で、このような方針を貫くのはなかなか難しい。
世界レベルの品質とかセンスの良さ、といった世界観がなかなか掴めないからである。
この辺りは、さすがにお洒落の国イタリア、といったところである。
さて、その社員の具体的な働き方は以下のようになっている。
この手厚さには驚かされると同時に、見習うべき点も多い。
―就業時間は午前8時から午後5時30分で、残業は禁止。
時間外は電子メールの返事をしなくてもよい。
昼食は1時間半。
社員食堂では、地元の食材などを使った料理が、レストランのような陶磁器の食器で毎日提供される。―
これを見ると、就業時間は、朝の始まりが早く、結構長い。
と、思ったら、昼休みが1時間半というのは、いかにもイタリアらしい。
シエスタでもするのであろうか。
就業時間については、結構長いと思ったが、残業禁止であれば、納得のいくところだ。
さらに、時間外の電子メールには返事をしなくてよい、つまり拘束されない、というのは一体どういうことなのであろうか。
つづく