人生に無意味なことは何一つない・・―「やせ我慢」を尊重できるのは大人の証(あかし)―Ⅵ(おしまい)

ひたすら「悲しい!」と訴えるこの相談者の女性に対して

「ご両親はおそらく「やせ我慢」をしているのですよ。それを尊重してあげましょう。

と、諭しながら、最相さんは次のようにも続けている。

 

―もちろん、そんなのはきれいごとですよ。

あなただって自分でも気づかない怒りの炎を内に抱えているはずです。

物分かりのいい娘である必要はない

最後の思う存分、言いたいことをぶちまけたって誰があなたを責められるでしょう。―

 

この相談者は女子大生というからには、20歳そこそこだろう。

それくらいの年齢の娘さんにしては確かによく耐えている。

 

この娘さんが10代の頃から、すでにご両親の中はおかしくなっていたと考えられる。

だとすれば、少々グレたとしても、不満タラタラだったとしても、誰も攻めることはできないだろう。

 

最相さんは「いい子を演じる必要もないのですよ。」と言っているのだろう。

とにもかくにも、ここまで自分を抑えてよく我慢してきた娘さんである。

 

その彼女に対して最相さんは次のように締めくくっている。

―とはいえ、自分まで負の感情に支配されるほどつまらないことはありません

いつも明るくなくても、いつも笑っていなくてもいいのです。

この経験はきっとあなたを強くし、他者への想像力を鍛えることでしょう。

出会いと別れを繰り返し、いつか生涯の伴侶と巡り合う時、あなたは気づくはずです。

人生に無意味なことは何一つないと。―

 

まだネガティブな感情に毒されていないこのお嬢さんにかける最相さんの言葉はとても優しい。

確かに、こういう経験を経て「他者への想像力を鍛える」ことは大切である。

 

そこが欠けていれば、人は人たりえないのだ。

残念ながら、こういった望まない辛い経験から、そういった建設的なマインドを身につけられる人ばかりとは限らない。

 

最相さんがおっしゃるように、このお嬢さんが「人生に無意味なことは何一つない」と、前向きに生きることを願うばかりである。

 

 

 

おしまい