親をうらまずにいられるよう配慮・・・―「やせ我慢」を尊重できるのは大人の証(あかし)―Ⅴ
この苦しんでいる娘さんに対して、おそらくそれなりに配慮しているであろうご両親。
その配慮について、解答者の最相葉月さんは、さらに次のように記している。
―どちらかが精いっぱい無理をしている可能性はありますが、親をうらまずにいられるよう配慮している二人のやせ我慢を尊重し、あなたはあなたの人生を生きることが第一でしょう。―
その通りである。
親はいつかは子離れ、子はいつかは親離れしなければならない。
そして、それが常にすんなりいくとは限らない。
むしろ、すんなりいかないことの方が多いのだ。
ただ、こんな風に、あまりにも望まない形でそれが訪れるというのも気の毒と言えば気の毒である。
この女性の場合、幸福な幼少時代というものを通過してきただけに、こんな形(両親の離婚)でそれを受け入れなければならないというのは、いかにも苦しいのだろう。
しかし、ご両親だっておそらく「やせ我慢」をしているのですよ、と親切に説いてくれる最相さんの気配りにも大人の優しさを感じる。
自分たちの娘に親をうらむという不幸を背負わせまい、という配慮までできる人間的にはできた親であっても、当人たちがダメとなったら別れるときは別れるのだ。
それが人間というものなのだろう。
ここまでの時点で、この娘さんがまだ親をうらむといったフレーズが出てこないのが救いである。
本人のひたすら悲しい、という感情だけが表に出ているに過ぎない。
そのもって行き場のないであろうこの娘さんの感情に対しても、最相さんは心配りをしながら言葉を続けていた。
つづく