「覆水盆に返らず」は世の常―「やせ我慢」を尊重できるのは大人の証(あかし)―Ⅳ
両親の離婚がいよいよ本決まりになって、悲しくてしょうがない。どうしたらいいでしょうか・・・・
と訴えるこの女子大生の女の子に対して、回答するのはノンフィクションライターの最相葉月さん。
やはり女性である。
この相談に対する彼女の回答がとても秀逸だったのでご紹介したい。
それは以下のように始まる
―この手紙を一番読んでほしいのはご両親ですね。
でも覆水盆に返らずであることをあなたはよくわかっています。
離婚理由が書かれていませんが、あなたは今もご両親どちらも大好きだと書いている。
少なくともあなたには見苦しいところを見せぬよう、二人は努力してきたのだと思います。―
そうなのだ。
人生相談の中には、しょうもないものもあるが(結構多い)このように、その悩みの対象となっている当事者に読ませたら!と思うものも少なくない。
もっともその場合でも、酒癖が悪くDVの父親とか、異常に子供依存症の母親だとか、頑固な年配者だとか、どちらかといえばネガティブな要因を抱えた対象者の方が多い。
今回のように、どちらも良くしてくれたから大好き、というのは珍しいのだ。
あなた方を肯定し、それゆえにこんなに悲しんでいる娘さんがいるのだから、関係の修復をお考えになったら?と言いたいところだが、そうはいかないことも、大人である我々はよくわかっている。
最相さんのいう「覆水盆に返らず」は世の常なのである。
このご両親は、最相さんが書かれているように、見苦しいところを見せぬよう努力もしてこられたのであろう。
この相談には、いわゆる「悪い奴」・・悪役が出てこないだけに読んでいて辛いのだ。
つづく