世界に高いレベルのお手本を示してやればいい―観光産業をモデルに日本の生産性の低さを考える―Ⅵ

グローバル化が進み、私が20年前に「県外の観光客をもっと呼び込もうよ。」と提言した頃に比べると、こういったテーマも随分とスケールが大きくなりました。

アトキンソン氏は、この大きなテーマを、次のように締めくくっておられます。

 

―ほとんどの外国人は日本の歴史や文化に関する基礎知識が乏しいので、それもわかりやすく、面白く説明する必要があります。

日本について学ぶことは、彼らにとって日本に来る重要な楽しみの1つなので、丁寧にやらなくてはいけません。

 このように細心の注意をもって外国人に対応すべきだと私が言うと、必ず

「そんなこと、できている国がどこかにあるのか」

と批判めいたことを言う人が現れます。

しかし、どこかの国ができているか否かは、日本でやるべきかどうかという議論とはなんの関係もありません。

 ほかの国以下に甘んじることは論外ですが、ほかの国がやっていないのであれば、諸外国を凌駕するレベルの外国人対応の準備を日本がやって、世界にお手本を示してやればいいのです。―

 

横並び、前例主義・・・日本人の悪しき慣習といわれてきました。

バブル全盛時代、銀行の頭取は次の3つのセリフが言えれば務まる、と揶揄されていました。

  1. 前例はあるのかね。
  2. 他行はどうなんだね。
  3. 金融庁は何と言っているのかね。

この3つのセリフです。

そうやって揶揄された銀行業界は、今存亡の危機を迎えています。

 

アトキンソン氏の言われるように、他国がどうであれ、日本は日本で高いサービスレベルを目指せばいいのです。

「諸外国を凌駕するレベルの外国人対応の準備を日本がやって、世界にお手本を示してやればいい・・」

という提言は、今の日本の他の産業全体にも言えることなのではないでしょうか。

 

 美しいブルー

 

つづく