当たり前の「やるべきこと」をやろう―観光産業をモデルに日本の生産性の低さを考える―Ⅴ

時代に合わせてモデルチェンジができないでいる日本の産業構造。

アトキンソン氏は、観光業を代表的なサンプルに取り上げ、その解決策について、次のように具体的な提案を述べておられます。

 

―当たり前の「やるべきこと」をやろう

 訪れた外国人観光客に満足してもらうには、まずは地域の可能性を探り、どういった観光資源をいかに整備し、どういう観光地開発をするかを決めるのが先決です。

 やるべきことはたくさんあります。

泊まる場所の確保、文化財ならば多言語対応、自然体験コースづくり、カフェや夜のバーなど飲食店の整備、それに交通手段の確保、各観光資源の連携

わかりやすい道路表記や、お昼のレストラン、文化体験、案内所などなど、整備しなくてはいけないことは山ほどあります。

 個別の整備もぬかりないようにしなくてはいけません。

例えば、多言語対応は完璧を期すべきです。

英語であれば、英語圏のネイテイブが書かなくてはいけません。

日本語を英語に「翻訳する」だけでは、訪日客を満足させることはできません。―

 

私は以前、自分の住む大隅半島の観光資源について、提言をしたことがあります。

あまりにも地元の人たちが

「大隅半島には、観光資源らしい観光資源が何もない。

国の援助でなにか豪華な施設でも作ってもらわなくては・・・」

といった、いわゆる「箱もの行政」に頼り切った考え方をしていることに異を唱えたのです。

 

その時は、外国人観光客を想定したわけではなく、

「国内、いや県内からの観光客を取り込むだけでもまず手を付けるべきではないか。

そのためにはわかりやすい道路表記、案内所、宿泊施設、飲食施設など整備すべきである。」

といった提言をしたのです。

 

まさに今回のアトキンソン氏のミニ版のような提言でした。

さてそれから20年経った今、地方の様相は少しは変化したでしょうか。

 

こんなロケーションがあるんです。大隅半島。 

 

つづく