時代が変われば、ビジネスモデルが変わる―観光産業をモデルに日本の生産性の低さを考える―Ⅳ

高度経済成長期を経て、それなりに贅沢を知った日本国民・・・

にもかかわらず、観光産業における施設のクオリティーやサービスの内容などは、旧レベルのまま放置されていたと分析するアトキンソン氏。

 

その結果、どのような現象が起こったのか?!?

アトキンソン氏は次のように指摘されます。

 

―実際、1990年台に入ってから若い人が増加しなくなった途端、日本各地の観光地では観光客がどんどん減っていきました。

しかし、そもそも利益水準ギリギリで運営していたので、時代に合わせてビジネスモデルを変更するための設備投資をする余裕もありません。

 ビジネスモデルを時代に合わせられないのですから、必然的に衰退の一途をたどるというのが、日本国内の多くの観光地が陥った悪循環です。

時代の変化によって、ビジネスモデルが崩壊してしまったのです。

この状態は、まさに、生産性の低い業界や会社が陥る典型的な「負のスパイラル」です。―

 

先述のように、私が自分の家を作ってから見る日本の観光地で運営するホテルの施設や設備はあまりにもお粗末でした。

それは「このままではまずい!」とわかっていても、アトキンソン氏が指摘されるように、再投資する余裕がなかったためだったのでしょう。

 

これはすべての産業に言えることだと思うのですが、時代が変われば、ビジネスモデルが変わるのは当然のことです。

このシンプルな原則に適応できない産業が今の日本には多すぎるのです。

 

したがって、アトキンソン氏の指摘は何も観光産業に限られたことではありません。

世界に対して後れをとっている日本のすべての産業に言えることなのではないでしょうか。

 

 

 

つづく