対立構造をまとめていくのがトップの役目―上司の悪口を肴(さかな)に飲む酒は・・・―Ⅳ

飲み会の席で語られた一部始終の詳細が、新しい方針を打ち出す社長に報告された、というこの一件。

 

翌日、その飲み会に出席したメンバーは一人ずつ社長室に呼び出され、誓約書のようなものを突き付けられて、進退を決めるように迫られたというのである。

その際に、

「前夜の飲み会で、これこれこういうことをしゃべったというのは事実か?」

と、詰問されたらしい。

 

その場では進退を保留にした人間、サインして退職を決めた人間、すったもんだあったらしいが、結局その旧部署というのはほぼ消滅に近い状態になったようだ。

何とも乱暴な決着のつけ方である。

随分、芝居がかった子供っぽいやり方にも見える。

 

騒動はこれだけでは終わらなかった。

そんな乱暴なやり方では、周りが黙っているわけもない。

旧経営陣を始めとする重鎮やその他の関係者がいろいろと動いて、話し合いがもたれたらしい。

 

そして、結局、社長を含む新方針派の方も、すべて退職する羽目になってしまったようだ。

その通知を受け取ったとき、事情を何も知らなかった私は、非常にびっくりしたことを思い出す。

稼ぎ頭であった旧部署は事実上崩壊し、新しい方針も根付かせることはできなかった、ということになる。

 

そんな紆余曲折を経て、今その会社は建て直しに入っている。

いやはやなんともおかしな大騒動だったものである。

 

私は、この一連の経過を聞いていて、大きな方針の変化を組織に根付かせることの難しさを考える。

当初、一見対立構造が生まれるが、経営トップはこの両方をまとめていかなければならない

 

そこをきちんとやれなければ、私のところのような事務所を始め、小さな組織は崩壊してしまう。

子供っぽい押し付け、或いは脅しをかけるようなやり方は最悪といえるだろう。

 

 

 

つづく