常に新しい方針は批判にさらされる―上司の悪口を肴(さかな)に飲む酒は・・・―Ⅲ
さて、そういう訳で、上司の悪口を肴に飲む酒に対しては、
「そんなことより、もっと前向きな話題を語れる自分になろうね。」
と、私はアドバイスする。
しかし、このテーマについて、そんな軽い助言では済まないような話を最近聞いたのである。
私の関係するある会社での出来事である。
その会社は、まだ若い2代目の社長がトップとして経営していた。
彼はこれまでとは異なる新方針を打ち出そうとしていたが、それはこれまでのその企業の「稼ぎ方」とはかなり方向性を変えることになる。
とまあ、ここまでは企業ではよくあることで、彼としては当たり前の考え方であり行為といえる。
当然社内には反対意見も多く、その従来の「稼ぎ頭」だった部署には不満が溜まっていたようだ。
そんなこんなで、社内ではいろいろとあったのだろうが、その旧部署のメンバーがそろって飲みに行く機会かがあったらしい。
当然その場では、新方針に対しての不平不満が渦巻いたとしても不思議ではない。
ところが、意図的か偶然かはわからないが、その飲み会の中に新社長派のメンバーが紛れ込んでいたらしく、その席で語られた一部始終が社長に報告されたというのだ。
それはまるで録音されていたかのように、詳細なものだったらしい。
ここからが、この話は少し異常な展開になるのだ。
私は、上司の悪口を肴に飲む酒はあまり建設的とは言えず感心しない、と書いた。
しかし、それを言われる上司も、そこのところは甘んじて受ける覚悟や度量がないとやっていけないことも事実である。
実際、私も普段そんな覚悟で経営しているのだ。
つづく