建設的で前向きな姿勢とは言えないよなあ―上司の悪口を肴(さかな)に飲む酒は・・・―Ⅰ
居酒屋とかでお酒を飲んでいると、隣り近所のサラリーマングループがやたらデカい声で話しているのが聞こえてくることがある。
その話題は、なんといっても職場の愚痴、中でも上司の悪口というのが実に多い。
「だからさあ、俺は言ってやったんだよ。『ああ、いいですよ。やれと言われればやりますけど、どうなっても知りませんよ。』ってね。そしたら課長の奴、黙り込んでやんの。あいつは何にもわかってねえーんだよっ。」
とか
「あの見積もりじゃや通らねーつったんだけど、部長が強引に出すもんだからおかしなことになっちゃって、結局連帯責任だよ。全く、どうしてくれんだよってんだ。」
とか
「社長がアホだから、すっかり取引先になめられちまって、俺たちやりにくいったらありゃしない。そのくせ、やたらドラッカーがどうのとか松下幸之助はこう言っただの、いくらいい大学出たからって、現場に出たら頭でっかちじゃ通用しないてーの。」
とか、そりゃあ様々である。
と、まあサンプルを書こうと思えば、その中身にはこと欠かない。
何故かといえば、その昔勤め人をやっていた頃、自分が全くその通りだったからである。
あの頃は、割とよく飲みに行ったものだが、結構上司の悪口など言っていたような気がする。
まあどんな酒の飲み方をしようが、その人の勝手だが、悪口を肴に酒を飲むというのは、あまり建設的で前向きな姿勢とは言えない。
ネガティブな話題に終始するわけだから、そんなに楽しい雰囲気でもないだろう。
あの頃のことを思い出すと、どうしてもっとましな酒の飲み方ができなかったのだろう、と少し残念な気がするのだ。
前向きになれるような材料が自分になかったのかも知れない。
つづく