商談作りと商談の分業による効率化―BtoB企業の現状に学ぶマーケティング―Ⅳ

さて、庭山教授によれば、世界のBtoB企業では20年ほど前から「商談作りと商談の分業」が販売面での潮流となっているらしいのです。

それは、どういうことかといいますと、次のように解説されています。

 

―商談を進め、顧客企業のキーパーソンを説得し、価格や条件を詰め、競合他社を排除しながら契約まで持っていくのが営業の担当なのに対して、その営業や販売代理店に良質の商談(見込み客)を供給する役割はマーケティング部門が担うようになっています。―

 

こういった言葉の中で、耳に新しいのは「良質の商談を供給・・」といったフレーズです。

このような言い回しは、分業体制がなければ出てこないものといえましょう。

これまでの日本的な営業スタイルからは生まれない発想なのです。

 

この分業体制における「マーケティング部門」というのは、具体的にはどういう役割を担っているのか、気になるところです。

その点についても、庭山教授は次のように解説されています。

 

―具体的には、ブランディングのほか、展示会やセミナー、ウェブサイトなどを通じた集客、登録したユーザーのアクセス解析から有望な見込み客の抽出、そして電話でニーズを確認するまでをマーケティング部門が担当します。―

 

これを見ますと、営業担当よりもむしろ「マーケティング部門」の方が、やることのボリュームがはるかに多いように見えます。

しかし、逆に言えばこれをすべて営業担当者がやらなければならないとしたら結構大変ではないでしょうか。

 

営業担当については、次のように書かれています。

―営業担当者は、抽出された有望な見込み客との商談に集中できるので、生産性が高まります。世界のBtoB企業ではこれが標準的な売り方になっています。―

 

なるほど、営業担当者は最終の詰めの部分、クロージングに近いところから先に集中できるというわけです。

こういった分業制が機能すれば、効率が上がるかも知れません。

 

 

 

つづく