商談創出というマーケティング機能とそのノウハウを持たない日本企業―BtoB企業の現状に学ぶマーケティング―Ⅲ

「リサーチ」や「ブランディング」については、比較的頑張っているという日本企業。

しかし、「商談創出」についてはどうでしょうか? 

庭山教授は次のように述べておられます。

 

―売り上げに直接貢献する「商談創出」に関しては、ほとんどの企業が取り組んでいません。

多くの日本企業では販売は営業部門や販売代理店の担当であり、よい製品と強い営業力だけで売り上げをつくってきました。

ところが、今の世界標準は貴重な営業の人的資源は質の高い商談に集中させ、その商談を創り出す役割をマーケティングやインサイドセールス(電話やメールによる非対面の内勤型営業)が担う分業なのです。―

 

なるほどこの点は、アメリカの映画など見ていると、ちょっとしたエグゼクティブには、必ず秘書が付いていることなどからも理解できます。

様々な雑用は、この秘書がほとんど処理して、ボスは肝心な交渉やプレゼンに集中しているのです。

またその交渉の場で、次のビジネスのきっかけをつくったり、新たな人的ネットワークを広げたりする場面もしばしば登場します。

 

ここでは「分業」という言葉がキーワードになると思われます。

この分業体制があいまいな日本企業において、ここに書かれているような質の高い「商談創出」に至るのは難しいのではないでしょうか。

その点について庭山教授は次のように書いておられます。

 

―日本企業が抱える課題の多くは商談創出というマーケティング機能とそのノウハウを持っていないことが原因であり、世界のBtoB企業から引き離されてしまった大きな要因なのです。―

 

1回目のコラムは、BtoBにおける日本企業の現状への指摘でしたが、私にとってこれは結構衝撃的でした。

先述したように、toB企業こそが日本の強みと思っていたからです。

この現状に対するさらなる分析が次回から書かれています。

 

 

つづく