当事者が気づいている弱点と自覚していない弱点―弱点、盲点、起点の3点分立で経営を考える―Ⅰ
企業にはそれぞれ「弱点」というものがあります。
「ここが、わが社の弱いところだ。」
「この点がわが社のウィークポイントだよなー。」
というものは、どんな企業にでもあるでしょう。
ただ「弱点」は、当事者が気づいているものと、まだ自覚していないもの、とに分かれます。
前者の「気づいているもの」については、自他ともに認めているケースがほとんどです。
我が社は営業力が弱い、企画開発力に欠ける、全体的にスキルが未熟である、社員のモチベーションが低い・・・等々、いろいろあるでしょうが、社内でそう了解されているのなら、それで間違いはないでしょう。
課題はすでに特定されているので、その解決に向かって邁進すればいいわけです。
このように、自他ともに認めている弱点の場合はいいのですが、問題は、後者の「自覚していない弱点」のケースです。
このタイプの「弱点」には、実はちょっと困った傾向があるのです。
というのは、このタイプの「弱点」は、しばしば経営者が「わが社の長所だ。」と、思い込んでいる点と重なっていることが多いのです。
つまり、真逆の内容にもかかわらず、経営者は現実よりも都合のいい方に解釈しているケースが見られるのです。
例えば、
「食い物商売は、俺が長年やってきた専門分野だ。こっちに関してはプロだから、誰よりもわかっている。ここは他人にあれこれ意見など聞く必要はないんだ。ただ、今はネットだのSNSだの小難しいことに対応できなければやっていけない時代になってきたらしい。だから、そこのところを教えてもらえればそれでいいんだ。」
と、考えている社長がいたとします。
この場合、この飲食店がネット対応などを含めたデジタル系のインフラが遅れているという点は、自他ともに認めている「弱点」です。
したがって、この社長の言っている通り、改善に努めればいいでしょう。
つづく